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エピソード2
「大切なこと」

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数年前に卒業した2人の生徒と、千歳空港で再会しました。男子生徒T君は高校在学中に「就職先が千歳空港内のお店に決まったよ」と教えてくれました。「先生来てね!」と言ってくれました。私は出張で千歳空港に行く事が多かったので、会える日はそう遠くないと楽しみにしていました。  ある日、私は千歳空港を利用する機会があり、彼のお店を探しました。すると聞き覚えのある大きな声が聞こえてきました。とても美味しくて有名なお菓子屋さんに勤務していました。野球部だったT君の声は清々しく空港内のフロアに響き渡っていました。私は声を掛けました。すると彼は「せんせー」と嬉しそうに話をしてきました。 「先生、ごめんな、授業中いつも寝ていて」「教えてもらったことを生かしているよ、先生ありがとう!」「大切なことを教えてもらった」そんな感じのことを言われました。  彼は、授業中気持ちがいいくらいよく寝ていました。しかし、何かあると私を助けてくれた心の優しい子です。別れ際、「先生、これ」と言って、少ないお給料の中から、いろいろな種類のお菓子が入った袋を買って、お土産に渡してくれました。「先生ありがとうな」そんな思いを感じました。  彼らに、大切な礼法の心が根付いていることに感動しました。その後も空港を利用する際は顔を出したり、遠くから仕事をしている姿を目で追ったりしました。しかし、あるときから、空港に行っても彼の姿は見ることはなくなりました、きっと異動したのでしょう。「彼なら大丈夫、どこでもやっていける」と確信しています。いつかまたどこかで会えます。その時、さらに成長した姿を見るのが楽しみです。

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